高卒認定試験と通信制高校の違いを徹底比較！選び方のポイントを解説

高校を中退した方や、何らかの事情で高校に通えなかった方にとって、高校卒業資格の取得は将来を左右する重要な課題です。

「仕事を始めたいけど、高卒の資格が必要」

「もう一度学び直したいけど、どうすればいいか分からない」

といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

高校卒業資格を得る方法として、主に「高卒認定試験」と「通信制高校」という2つの選択肢があります。

どちらの道を選ぶべきか、費用や期間、学習方法など、さまざまな観点から比較検討する必要があります。

この記事では、両者の特徴や違いを具体的に解説していきます。進路選択に迷っている方の不安や疑問を解消し、最適な選択ができるようサポートします。

＼通信制高校と高卒認定試験の比較表／

特徴	高卒認定試験 (高認)	通信制高校
定義	高校卒業程度の学力を認定する国家試験。	高等学校の通信制課程で、単位を取得して卒業資格を得る。
学歴	高卒ではなく、中卒扱い。合格後も学歴は中卒のまま。	高校卒業資格を得られ、履歴書に「〇〇高等学校卒業」と記載可能。
受験資格	16歳以上であれば誰でも受験可能。	中学卒業または高校中退者が対象。
学習スタイル	自主的な学習が必要で、独学が基本。	レポート提出やスクーリングを通じて学ぶスタイル。
卒業までの期間	最短で半年以内に合格可能。	最低3年間の在籍が必要。
費用	受験料のみで比較的安価（科目数による）。	学費は学校によって異なるが、一般的に高額になることが多い。
進学資格	大学や専門学校の受験資格を得られる。	卒業後、大学や専門学校への進学が可能。
社会的認知	一部の企業では偏見がある場合もあるが、近年は受け入れられつつある。	高卒として就職活動ができ、企業からの評価も高い。
サポート	独学の場合はサポートが少ないため、自己管理が重要。	サポート校と連携し、仲間と共に学ぶ機会がある。

高卒認定試験の特徴と仕組み

高卒認定試験は、正式名称を「高等学校卒業程度認定試験」といいます。

この試験制度は、高等学校を卒業していない方に対して、高校卒業と同等の学力があるかを認定する国の制度です。かつての「大学入学資格検定（大検）」が2005年に改称され、現在の形になりました。

受験資格と試験実施について

高卒認定試験の受験資格は、原則として満16歳以上です。

ただし、病気や経済的な理由で高校に通えない事情がある場合は、15歳から受験できる特例措置も設けられています。

試験は年に2回、8月と11月に実施され、全国の主要都市に試験会場が設けられています。受験者は居住地に近い会場を選択できるため、遠方まで足を運ぶ必要はありません。出願時期は8月試験が5月頃、11月試験が8月頃となっています。

試験科目と合格基準

試験は必修科目と選択科目に分かれており、必修科目には国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語が含まれます。

地理歴史では世界史B、日本史B、地理Bから1科目を選択し、公民では現代社会、倫理、政治・経済から1科目を選びます。

理科については、科学と人間生活、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎の中から2科目を選択する必要があります。各科目の試験時間は概ね1時間程度で、合格基準は各科目の得点が満点の6割以上となっています。

特筆すべき点として、科目ごとの合格が永年有効という特徴があります。これにより、得意な科目から順に受験し、徐々に苦手科目に挑戦するという計画的な受験が可能です。

学習方法と支援体制

高卒認定試験の学習は基本的に独学で進めていきます。市販の参考書や問題集を活用し、自分のペースで勉強を進められることが特徴です。独学に不安を感じる場合は、通信教育講座や予備校の専門コース、オンライン学習サービスなどを利用することも可能です。

文部科学省のウェブサイトでは過去問題を無料で公開しており、これらを活用することで出題傾向や難易度を把握できます。過去問題を解くことは、効率的な学習計画を立てる上で非常に有効な手段となります。

通信制高校の特徴とシステム

通信制高校は、全日制・定時制と並ぶ正式な高校教育システムの一つです。

1947年に教育制度の一環として設立され、70年以上の歴史があります。「学びたいけど通学が難しい」という方のための柔軟な教育システムとして、多くの学習者に選ばれています。

入学資格と受入体制

通信制高校の入学資格は、中学校卒業者または同等の学力があると認められる方となっています。年齢制限は設けられていないため、中学卒業後すぐの方から社会人まで、幅広い年齢層の学習者が在籍しています。

従来の4月入学に加えて、10月入学を受け付ける学校も増えてきました。また、転入学や編入学の制度も充実しており、高校中退者の受け入れも積極的に行っています。このように、多様な背景を持つ学習者に対応できる柔軟な受入体制が整っています。

学習システムの特徴

通信制高校における学習の中心となるのが、レポート学習です。各教科の課題に自宅で取り組み、提出したレポートは教員が丁寧に添削して返却します。添削には詳しい解説や励ましの言葉が添えられ、一人一人の理解度に応じたフィードバックが行われます。

定期的に行われるスクーリングでは、実際に学校に通って授業を受けます。教科の学習だけでなく、実験や実習、体育の授業なども行われ、教室での対面授業ならではの学びを得ることができます。スクーリングの頻度は学校によって異なりますが、週1回程度が一般的です。中には土日や長期休暇中に集中的にスクーリングを設定している学校もあります。

定期試験はレポートとスクーリングの内容を踏まえて実施されます。試験に向けた個別指導も充実しており、苦手科目の克服をサポートする体制が整っています。

充実した学習サポート

通信制高校の大きな魅力は、手厚い学習サポート体制にあります。担任の教員が一人一人の学習進度を把握し、きめ細かな指導を行います。分からないことがあれば、スクーリング時の直接相談はもちろん、電話やメール、オンラインシステムを通じていつでも質問できます。

多くの学校では学習支援センターを設置し、個別指導も実施しています。パソコンやタブレットを活用したeラーニングシステムを導入している学校も増えており、時代に即した学習環境が整備されています。通信制高校の学費や魅力はこちらのサイトが詳しいです。

学校生活の魅力

通信制高校では、入学式や卒業式、文化祭、体育祭、修学旅行などの学校行事も実施されています。これらの行事は任意参加が基本ですが、参加することで充実した高校生活を送ることができます。

また、多くの学校では部活動やサークル活動も設置されており、共通の興味を持つ仲間との交流の機会が豊富です。こうした活動を通じて、学習面だけでなく人間的な成長も期待できます。

費用と期間の比較

高卒認定試験と通信制高校では、必要な費用と期間に大きな違いがあります。この違いは進路選択の重要な判断材料となります。

費用面での違い

高卒認定試験の受験料は1科目につき4,000円程度で、全科目を一度に受験する場合でも3万円程度で済みます。ただし、学習のために必要な参考書や問題集の費用は別途必要となります。

独学で取り組む場合は教材費のみで済むため、総費用を10万円以内に抑えることも可能です。通信教育講座や予備校を利用する場合は追加の費用が必要になりますが、それでも通信制高校と比べると比較的安価に済みます。

一方、通信制高校の費用は公立と私立で大きく異なります。公立通信制高校の年間費用は、授業料が約6万円で、教科書代や施設設備費、スクーリング関連費用を合わせても年間15万円程度に収まることが多いです。

私立通信制高校の場合は、授業料が年間20万円から80万円と幅広く、入学金や教材費、施設設備費なども必要です。ただし、就学支援金制度を利用することで、実質的な負担を軽減できる場合もあります。

期間の違いについて

高卒認定試験は、最短で半年程度での合格も可能です。1日3～4時間の学習を継続的に行えば、6か月から1年程度で合格を目指すことができます。ただし、仕事と両立しながら学習する場合は、より長期の学習計画を立てることをお勧めします。

通信制高校の標準修業年限は3年ですが、技能連携制度を利用することで最短1年半程度での卒業も可能です。また、単位制を採用している学校では、学習進度に応じて早期卒業の道も開かれています。編入学の場合は、前籍校での修得単位が認定されるため、修業期間を短縮できる可能性があります。

進学・就職時の違いと特徴

大学進学における違い

高卒認定試験合格者の場合、大学入学共通テストの受験資格は得られますが、調査書がないため入試方式が限定される傾向にあります。一般入試での受験が中心となり、推薦入試の機会は限られます。AO入試（総合型選抜）については、大学によって対応が異なるため、志望校の入試要項を確認する必要があります。

一方、通信制高校の卒業生は一般の高校と全く同じ扱いを受けます。全ての入試方式での受験が可能で、調査書もあるため推薦入試も利用できます。学校からの進学指導も受けられ、大学との高大連携プログラムが用意されている場合もあります。指定校推薦の枠が設けられている学校も多く、進学時の選択肢が広がります。

就職活動における違い

高卒認定試験合格者の就職活動は、基本的に自力での活動が中心となります。高卒と同等の資格として認められますが、一部の企業では高卒者が優先される場合もあります。職業訓練校などの職業教育機関を利用して、スキルアップを図りながら就職を目指すこともできます。

通信制高校生の場合は、高校新卒者として扱われるため、学校を通じた求人情報の提供や就職指導を受けることができます。面接対策やインターンシップ制度の利用も可能で、学校推薦による就職機会もあります。在学中の様々な経験を活かして、より充実した就職活動を展開できます。

資格取得とキャリア形成

高卒認定試験合格後は、個人で資格試験に挑戦したり、専門学校で資格取得を目指したりすることが一般的です。職業訓練と組み合わせることで、より実践的なスキルを身につけることも可能です。

通信制高校では、学校のカリキュラムに資格取得講座が組み込まれていることが多く、在学中に様々な資格取得にチャレンジできます。放課後や長期休暇中の資格講座、学校による資格試験対策など、資格取得をサポートする体制が整っています。

まとめ

高卒認定試験と通信制高校は、それぞれに異なる特徴を持つ学びの方法です。高卒認定試験は短期間での資格取得が可能で、費用も比較的安価です。独学中心の学習スタイルで、仕事などと両立しやすい特徴があります。

通信制高校は正規の高校としての学習環境が整備され、教員による手厚いサポートを受けられます。学校生活や行事を経験でき、進学・就職時の選択肢も広がります。

選択に際しては、取得までの希望期間や準備できる費用、学習スタイルの好み、将来の進路計画などを総合的に判断することが大切です。また、学校生活への期待や仕事との両立、サポート体制の必要性なども重要な判断材料となります。

どちらを選ぶにしても、事前に十分な情報収集を行い、自分に合った方法を選択することをお勧めします。必要に応じて、各機関の説明会や相談会に参加することで、より具体的なイメージを掴むことができるでしょう。

高校卒業資格の取得は、新たな人生の一歩を踏み出すための重要な機会です。この記事が、皆さんの最適な選択の一助となれば幸いです。